オーディションの無い日本

オーディションの無い日本

母の容態が悪く、夜間を看ている兄が体調不良になり、実家へ行く時間が増えてしまい、歌唱法の本のカラオケ作りや歌デモ動画を作る時間が思った様に取れません。ブログであれば何処でも出来るので、常々思っていることを書きたいと思います。

私は歌デモで証明の通り、「3オクターブ歌手」です。実は、20年位前には、歌唱法も殆ど完成していて、練習曲も出来ていたので、折々、どこか音楽プロダクションや音楽事務所さんに、「3オクターブ歌唱法」について相談出来ないかと思い、当時から、折々、芸能オーディションの情報はチェックしていました。私の場合は、自分の歌の才能に気付いたのが20代になってからでしたし、折々、常に微妙に「年齢制限」で応募対象にならず、初めから「シャットアウト」でした。ですが、「年齢」も折々上がっていた事もあり、自作練習曲の完成の為、音楽関係者の方々には支援を求めたいと思い、折々、TV番組なども含め、芸能系「オーディション」はチェックしてました

結論としては、結局、一言で言えば、日本には、本当に、まともな「オーディション」は一つも無いですね。
どこも「オーディション」は名目だけで、実際には、各社の「付属スクールの生徒募集」が目的です。

「スクールビジネス」を音楽業界へ展開させて、物凄く稼いでる某プロデューサーさんが、自分の事を詐欺師だと言ってたようですが、今や、音楽業界は、全てが「詐欺」みたいなものですよね。才能の無い人に夢を見させて、月謝を巻き上げてるわけですから。ジャニーズさんは、レッスン代無料の代わりに、性接待で月謝以上の対価を払ってたし。スクールに通うのは個人の判断ですからね。デビュー出来なくても、スクール側には何の責任も無い。数年月謝だけ払って何もない。オーディションで「生徒募集」を掛けて、「デビュー」をチラつかせて、全く物にならない人から、長期に月謝を巻き上げる。出来る限り長く「月謝」を払ってくれると有難いから、「レッスン頑張って下さい」と応援してくれる。辞められると困るから、スクールの中から、適当な人をデビューさせる。1発屋で十分。次の生徒がそれで押し寄せますからね。まあ「詐欺」と一緒ですよね。

未だに、真面に「オーディション」に受かったら「デビュー(仕事)」出来ると思っている「馬鹿」っているのでしょうかと思いますね。長期で活躍出来る実力のある人材がいたら、こんな仕組みは簡単に見抜きますからね。そもそも来ないし、来ないから、まず育たない。市場の音楽離れが加速し、このままでは、やがては若者も音楽を聴かなくなる時代が来ますよね。

 

「オーディション」とは、本来は「仕事探し」

こういう「スクールビジネス詐欺」が続くのも、日本人が本来の「オーディション」について知らないからと思います。私はかつてNYU時代に、ブロードウエーのダンススタジオを渡り歩いてたんですね。趣味でしたが、当時は相当マジで踊ってたので、レッスン場で他のダンサーさんから折々拍手貰ってました。舞台監督に「ダンサーの足」をしているとスカウトされた事もあります。私は金融業界を目指してたので、オーディションは受けませんでしたが、ブロードウエーのミュージカル俳優は物凄い努力してましたし、配役のオーディションでは競争も激しいので、レベルも凄く高かったですね。コーラスラインという映画を見れば解るでしょうけど、本来のオーディションは「特定の仕事を取る」ための採用試験ですよね。その役に、ダンス&歌&セリフ&イメージで審査して合わなかったら、それで終わりで、「落ちた人」を「スクールに勧誘する」なんて有得ないし、プロダンサーや現役の振付師などが、あちこちのダンススタジオで個人レッスンしてて、生徒も、会場入るところで、10ドルとか15ドルとか払って、勝手に参加してみたいなノリでした。歌も同じで、プロシンガーが適当にあちこちで歌のレッスンしてて、その都度自由に行くみたいなノリ。それで、仕事を取る為に「舞台や映画や歌のオーディション」に参加するみたいなノリ。

本来の「オーディション」の目的や方法を知ったら、日本の「オーディション」なんて受ける気失せますね。私も、日本で「芸能オーディション」に参加した事があり、書類審査からすると2000倍程度の狭き門を通過したことがありますが、合格したら、結局、「スクール」でした。3か月でデビューに向けたお話を頂きましたが、確実にデビュー出来る保証が提示される前に、私が個人的事情で辞めてしまいました。それ以前も、「バンドオーディション」に行ったら、一番客に受けてたバンドが落ちて、何で?みたいなバンドが1位で、デビューします!みたいな。すぐに「やらせ」だと気が付きますよね。デビュー前の話題作りですよね。

でも、本来のオーディションは、合格したら、即、仕事ですし、主催者とギャラや条件交渉が前提です。主催者側も、確実に「出来る人」しか採りませんよね。現場でやらせて「出来ません」とか「練習させて下さい」では話にならないですからね。その時間、映画でも舞台でも関係者にはギャラガ発生しますし、「スクールレベル」では話になりませんよね。欧米は、多分、日本より、音楽ビジネスの体制が先に進んでいるんだと思いますが、30年以上前で、既に、製作者側と俳優側が、直接、その場で採用条件確認するスタイルが定着してました。

日本では、同じ時期に、おニャン子ブームに、お笑い芸人の歌手真似ブームで、専業歌手の活躍の場が徹底的に潰されて行き、音楽業界の「ド素人化」へ向かい出しました。ほぼ「使えないド素人」を、プロの現場に出すのですから、まあ「スクール」が必要になりますし、そこから「スクールビジネス」がどんどん拡大して行きました。AKBは典型的な「スクールビジネス」ですね。

海外は、バーブラ・ストライサンドとか「超一流の歌手陣」が、音楽業界の「ド素人化」は許さなかったし、個人主義の国なので、スクールで「内輪でなあなあ楽しく」より、個人でいかに「一人勝ちするか」なので、日本の様な「皆で渡れば怖くない」式に「集団歌唱」は流行らなかったようです。そのため、日本のようにはならなかったし、本来のオーディションがそのまま継続され、専業歌手が根絶えることもありませんでした。日本は、この数十年、音楽業界として、完全に道を誤ったと思いますね。

日本はまだかなり遅れてはいますが、音楽製作が個人レベルで可能な時代になりましたし、音楽プロダクションや音楽事務所のニーズは下がってますよね。「スクールビジネス」を展開して、「スクールが必要なレベルの人材」を幾ら集めても、「プロで通用する人材」は来ないし、「育たない」ってことですよね。大衆音楽なんて、歌手が最も大事なんだから。バンドも何も歌手が確保出来て初めて成立ですから。音楽業界の人達も、音楽プロダクションも、「スクールビジネス」は既に「どん詰まり」だという事に気が付くべきですよね。「スクールビジネス」で事業展開している限り、歌手として、長期に安定して売れる人材は出て来れないでしょうね。

 

オーディションを受ける側がオーディションを理解すべき

ということで、本来の「オーディション」について、ここで述べておきます。主催側が解ってないかどうかは別として、「生徒募集」の名目で「名称」を利用しているだけですが、オーディションを受ける側もきちんと「正しいオーディション」を知っておくべきです。スクールの生徒募集なら、「才能が有る無し」なんて関係ないですよね。「才能が有る人」なら、スクールで的外れなレッスンで、時間と労力とお金の無駄だし、「才能が無い人」であれば、それこそ「人生の選択の間違い」になります。10代や20代の将来設計的に大切な時期に、幾ら通ってもプロになれないのに延々人生の時間費やすって、それこそ不幸ですよね。

本来の「オーディション」とは、明日明後日でも、すぐ舞台稽古に入れる「即戦力人材の確保」であり、そのための「一般公募による公開審査」です。「オーディション」を受ける側にしても、「仕事の契約を取る」ためです。本来のオーディションは、芸能系の人材の「仕事探し」です。

日本にそういう「オーディション」が一つでも存在していれば、「スクールビジネス詐欺」の被害がこんなに広がらないし、ジャニーズの性被害も起きないですよね。ジャニーズも「スクール」に入って、「デビュー」をチラつかせて、性接待を強要ですから。十分な実力のある人材だけが、きちんと審査されて、確実に楽曲を歌いデビュー出来る体制があれば、「スクール」は存在したとしても、「スクールビジネス詐欺」にはならないでしょ。1つの「スクール」にただ通うのではなく、実力を付けるために、個別に様々なプロのレッスンを渡り歩いたり、音楽でも、私がやってたように、歌のためだけに「ドラム」習い、「ピアノ」習いみたいになりますよね。単にカラオケで歌うたってお終いじゃなくて。

本来のオーディションであれば、主催者側も、明日明後日、リリース曲の練習に入って、翌週にレコーディングですよね。それを「十分に熟せる実力がある人」を見付けるためですので、「受かってからスクールで勉強」なんて有得ないし、そもそも、第一次審査で「書類提出」&「1コーラス歌の音源提出」も有得ないですよね。

本気で「人材見つける」なら、まず「能力で選別するのが先」です。第一次審査は、会場と集合時間だけ通知して、集まった参加者全員に、まず「全く同じ課題」を出して審査すべきです。本気で「人材見つける」なら、4小節、15秒で、音域が「1.5オクターブ」、「1オクターブ飛び」と「ロングローン」など、歌唱技術のいるフレーズを盛り込んだ課題を、その場で歌わせればいい。歌を覚えるのに5-10分掛かるので、1週間前に、ホームページで事前に譜面と歌詞とメロディ音源を配布しておけば、仮に1000人来たとしても、一人15秒で、順番に一気に歌わせれば単純に1~2時間も掛かりません。

歌えなければOUTで、歌えた人材だけ第二次審査。第二次審査では、1コーラス、発売予定の楽曲に近い内容で「仮歌」を用意し、これを翌週に一斉にオーディション。これからの時代、プロになるなら、海外対応も必要ですし、海外では歌手は2オクターブがプロとアマの線引きです。同様のレベルを要求して、通過出来なければ、プロになっても生き延びられないですよね。音域を「2オクターブ」で「課題曲」作れば、プロもアマも関係なく、今の日本であれば、殆ど人材が残らないでしょう。

それで、既存曲などでの個別の歌唱審査は、第三審査以降ですよね。プロ歌手に求められるのは、「コピー力」ではなくて、「歌を作る力」です。作曲家やプロデューサーがある程度指示したとしても、自分の歌う歌は、自分で自分の歌に作れなくては、歌手としての本当の個性は出て来ません。既存曲も、審査楽曲を指定して当然ですし、むしろ「聞いたことの無い曲」をどう歌えるかを審査すべきですよね。

折々、テレビ番組で、新人発掘オーディション企画などをやってますが、大体、年齢制限が先で、次が書類審査と写真と歌の音源の提出が第一次審査。これで全国から数万近い応募がある場合もあるようですが、本当に「歌える人材」を見つけるなら、初めから「1.5~2オクターブ歌える」のを条件にすれば良い。書類審査も必要ないし、上記のような「課題曲」を3パターン用意して、全員に同じように遣らせれば良い。

ダンス審査も要らないですよね。本気で歌えば、そもそも踊れないですし、簡単なステップ程度の振付に、ダンス審査は必要ないですから。今の日本は、大手でさえ、音楽プロダクションが「スクールビジネス」に走ってますが、売れる人材とは「スクールが要らない人材」ですよね。初めから、「実力のある人材」に絞って審査し、最初から「きちんと歌える歌手」だけを育ててデビューさせた方が、結局は、無駄なコストも掛からず、自然と世間で評価も出ますし、ヒットも連続し易いし、歌手として長寿化し易い。

 

オーディションに合格してから、事務所のスクールに通って、レッスンで発声練習を始めるなど有得ませんよね。

でもそれが日本のオーディション。

 

ぶっ壊れた日本の音楽

AKBとかモー娘とかジャニーズとか、「学校ビジネス」は、一見、個別には儲かっているようで、所詮、自分に自信の無い「学校レベルの人材」しか来ないので、仮に無理やり「デビュー」しても、実社会では「仕事には繋がらない」し、ちょっと名前が出ても、結局、「長期的な安定人材」にはなりませんよね。「長期的な安定人材」=「長期的な安定収益」をいかに確保するかに「投資」すべきなのに、初めからスクール用を兼ねて「歌唱力の無い人材」しか取らないのであれば、「投資」が「投資」になりません。

「出来ない人は出来ない」のが芸能の世界。「出来る人は初めから出来る」のも芸能の世界。売れる場合は、「初めから出来ている」のが条件です。出来ない人に夢を吹っ掛けて、人生の時間を無駄にさせるのは止めるべきと思います。「スクール」と「仕事」が完全に解れれば、「仕事」の現場には、やがては「実力のある人材」が残るようになりますよね。現状は、全部が「スクール公募」だから。今回、オーディションサイト見て見て、「応募するだけ時間の無駄」とい理解すべきなのかと思いました。

サイトの募集には、音楽プロダクションに仮に採用された場合、どんなメリットやサービスが得られるのか、全く情報が無いですし、年齢的に無理とか以前に、考えてしまいますね。むしろ、300万出してくれる「個人投資家」や「起業家」を開拓した方が、商業的な展開も見込めるし、これからの音楽家は良い選択ではと思ってしまいます。

今の時代、もう既に、音楽製作なんて、個人で作れて、個人で全世界に販売可能な時代です。個人音楽家や個人プロデューサーが、自分の作品を歌う歌手や演奏家を、自分で確保するのに、オーディションが機能して来れば良いだけかもですよね。欧米では、そういう方向で、業界の体制が出来ていったようですし。なので、個人の芸能エージェントから仕事紹介を受けたり、芸能エージェントが、個人と個人を繋ぐ仕事してますよね。

どちらにしろ、「スクールビジネス」は今のやり方では先が見えてますし、このまま続ければ、音楽の品質が下がり続け、今以上に、大衆の音楽離れ(消費者離れ)が進み、市場が縮小していくだけです。それに、まだ本格上陸していませんが、欧米のプロデューサーが、日本市場の開拓の為に、直接、本当の「能力審査オーディション」をやって、合格者は即デビューみたいな流れが出来て来たら、「スクールビジネス」に走っていたプロダクションは一気に淘汰されますよね。だって、スクール行かなくても、デビューの機会があるなら、実力のある人材からスクール辞めますからね。

やがては、音楽家が、作品制作のプロジェクトのために、個人のプロデューサーや演奏家と直接繋がる道を探すようになるでしょう。必然的に、欧米の様に、音楽家の個人と個人を繋ぐ「芸能エージェント」を経由して仕事のオーディションを受ける流れが出来るのでは無いでしょうか。一人で、小さな事務所だけで良いし。音楽家同士の繋がりが作れる人材であれば、簡単に始められます。

今は、バンドでも、ユニットでも、個人レベルで探してますが、「芸能エージェント」で、人材アレンジも有りかもです。アレンジ費用払って、一緒に舞台出来るピアニストを確実に探してくれるなら、その方が有難いし、手間も暇も掛からない。一方、歌手がいれば、自分の曲をライブで披露できる作曲家(ピアニスト)も、世の中、探せばいるかも知れません。現状は、そうしたHUBの役割をやる人が日本の音楽業界にはいませんよね。以前は音楽プロダクションや音楽事務所がそういう機能だったかもですが、数が増えすぎて、人材が分散し過ぎたようです。

その上、AKBやジャニーズを初めとする「誰でも良いから生徒募集」みたいなノリで、歌手なのに、昭和歌謡も満足に歌えない、それ以前に、一人で1曲歌えないレベルを、集団化して売り出すみたいな「スクールビジネス」が業界の主流になってしまいました。そんな集団を確保しても、スクールで学ぶ以前です。欧米と同様、人材は、才能の有る無しで確実に振り分け無ければ、結局、長期的には音楽ビジネスは継続しませんからね。だから、それが、現状。一般大衆が音楽を聴かない時代になって久しいです。

現状の音楽業界の問題は、音楽業界での楽曲リリースが「スクールビジネス」の「生徒募集」用の「実績作り」になっていて、「生徒の確保」のために「デビューできる」証拠を作ってるようなものです。もっと言えば、特に売れなくても問題無い。スクールからデビューした実績があれば、夢見る夢子と夢見る夢男が、自分から押し寄せて来ますからね。だから、音楽プロダクションのオーディションでは、「初めから歌声を持っている天才」は必要無いですよね。なので、本当に歌える人は絶対に受からないですし、もし仮に受かっても、ミックスボイス信者のボイス・トレーナーに才能を潰されますね。更に、それ以前に、歌手が歌う楽曲の提供体制が無いんですよね。これが見抜けない人では、芸能界では無理なのではと思いますしね。

でも、歌手が出て来なければ、音楽は売れない。音楽のレベルも上がらない。「スクールビジネス」は「スクールビジネス」、「音楽ビジネス」は「音楽ビジネス」と完全に分離して、「初めから歌える天才」を広く開拓するしかないですよね。欧米の様に、完全に「能力審査型のオーディション」を、作曲家が中心になって、きちんと行う体制が必要だという事です。

私は、だから、3オクターブ歌手として中心に立ちたいと思ってますが、私でなくとも、誰か「中心」が必要なのは明白です。ところが、現状では、音楽業界の人達が、自分達の危機についてさえ、誰も問題意識さえ無いみたいです。こんな異常なオーディションと詐欺まがいのスクールビジネスが蔓延している状況では、海外のエージェントや海外のプロダクションが参入して来て、海外式に修正しないと、切っ掛けさえ生まれないのかも知れません。日本人で、業界への影響力と資本力のある作曲家の方が、本気で音楽やってる人間が「表」に出れるよう、せめて、まともな普通のオーディションを始めてくれると良いのですが。

おニャン子を仕掛けた方は、当時、「日本の音楽をぶっ壊す」と豪語してましたが、本当にその通りになりましたね。歌手を中心とする分業体制は完全に崩壊し、今や、歌手は絶滅状態。スクールが障壁になり、歌手が育たない。海外勢力が音楽製作の方面で参入すると、楽曲の英語化が進み、日本語の歌や日本人らしいメロディが消えて行きそうで怖いです。私は、日本語のままで歌を世界流通させたくて、3オクターブ歌唱法を研究して来たのに。何とか、打開する道は無いのかなと思います。

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