今井式3オクターブ歌唱法

今井式3オクターブ歌唱法

今井式3オクターブ歌唱法とは、声を楽器化する歌唱技術であり、3オクターブの歌声を構築し、2オクターブの楽曲を歌うことを目的に、私が日本の純邦楽での発声法とイタリアの古典発声法の研究、及び、約30年間の私自身の声帯と声での人体実験と検証から導き出した独自歌唱法です。以前のサイトでは、方法論の一部などを公開していましたが、3オクターブの歌声を構築する理論や練習方法など、ホームページでは十分に伝わらないと思いましたので、この度、本として、出版することに致しました。

単なる3オクターブやそれ以上の発声法ではなく、3オクターブのブレイクの無い歌に使える歌域を確保します。3オクターブの歌声を構築し、歌域として、ブレイクを意識せず(声を切替えず)3オクターブの楽曲でも歌えるようにしてから、余裕を持って2オクターブの楽曲を歌えば、歌唱での声帯への負担は激減するでしょう。声帯へ負担の無い歌い方が、歌声の維持に繋がるのです。

3オクターブの歌声については、このサイトで、私の自作曲(練習曲)および、既存曲での「歌デモ」を公開しています。私は、メソッド(方法論や技術)とは、何かを達成することを目的に学ぶものであると考えています。発声法/歌唱法であれば、当然、実際に歌を歌えることです。そのため、私が、この歌唱法の結果として、どういう歌が歌えるようになるのか、この歌唱法で何を目指すのかを、自ら歌ってお示しさせて頂きたいと思います。

 

既存歌唱法の危険性について

既存の発声法や歌唱法の危険性については、理論編で詳しく述べていますが、腹筋を使って強く息を噴き上げて出す方法論は、発声法として根本的に間違っていると思っています。ミックスボイスについては、古典ベル・カントの誤解釈から派生しており、あのメソッドでは「ブレイクの無い3オクターブの歌声」には絶対になりません。歌が2オクターブ以下であっても、声を3つに切替える上に、実質的に高音は張り上げた歌い方です。広い音域の歌にはメソッドとして対応していないのです。

声を切替える既存法の歌い方では、声帯負担の大きさから、若い頃は良くても、30代以降に、声の深刻なトラブル(ポリープや失声)に陥る歌手が後を絶ちません。発声のメソッドとして正しければ、正しい歌い方であれば、清元の歌手の方々の様に80歳90歳まで高らかに歌を歌えて当然です。トラブルが起きる時点で、信頼性のあるメソッドとは言えないでしょう。

私は自分の歌唱法のメソッドを公開するに当たり、自分の声帯で「加齢での変化に耐えらえるか」を実験して来ました。私は2023年時点で56歳ですが、C3~C6の3オクターブで、全部、歌の音域として歌えます。私の年齢が、私のメソッドの「正しさ」の証明です。

今井式3オクターブ歌唱法は、3オクターブ歌手になり、長期にプロで活躍するための技術です。歌を歌って、歌での声の出し方を学びます。単純でも簡単でもありませんが、私の歌のデモの通り、習得できれば、歌手として最強の武器を手に入れられるでしょう。

本の出版のお知らせ

2023年5月21日(大安)キンドル配信リリース

3冊はセット販売も予定しています。

基礎編 I (知識編)

知識編では、第1部では、3オクターブの歌声について、その概念を理解し、最終的に何を目指すのかを明確にします。最初に、最終的な到達点(ゴール)を確認します。 第2部では、この歌唱法での「正しい歌い方」について説明します。3オクターブの歌声を構築するために目的を絞って、今井式歌唱法では、何が正しいのかを理解します。第3部では、声帯を3オクターブの音域を持つ楽器に構築するに当たり、楽器とは何かを理解し、自分が楽器になるとは、どういう事か、音や声や響きはどう形成されるのか、音響に関する正しい知識を学習します。その上で、楽器の正しい使用法と安全や維持のために、声帯や周辺部の構造や、声を生み出す声帯の仕組みを学習します。

基礎編 II ( 理論編)

理論編では、知識編で学習した基本的な知識に基づいて、声域を3オクターブに拡張する理論と方法論を学習します。第1部では、人間の声の自然な状態や、一般的な定義でのブレイク、そして、今井式歌唱法でのブレイクの定義と声の定義について学びます。その上で、実践編での声の構築の理論と工程の概要を学びます。第2部では、歌声の構築で学んだ日本の古典的な歌唱法と、声の構築理論のヒントとなったイタリアの古典的な歌唱法について説明します。過去の長い歴史の中では、歌声の開発とは、どうだったのかを私の実体験をお伝えし、歌の学習とは本来どうあるべきか、今井式が2段階プロセスである理由を学びます。第3部では、既存の発声法について、私のメソッドの観点から、また、音楽製作者としての観点から、発声法における危険性について述べました。

実践編

今井式3オクターブ歌唱法では、3オクターブの歌声を構築するに当たり、声の構築(発声基礎練習)と、歌の構築(歌唱実践練習)は、別の工程として学習します。実践編は、発声練習と歌唱練習の2段階となります。声が出来てから、歌の練習に入ります。第1部では、今井式での基本発声として、「まっすぐな声」の出し方を実際に発声し練習します。今井式歌唱法では、人の声には、自然な状態で、5つの状態があると定義しており、各状態により、声の構築の開始方法が異なります。

第2部では、声の構築の理論に基づき、各工程の段階により、発声練習で実際に声を出して、3オクターブの声を構築します。第3部では、第2部を経て、3オクターブの声域を確保した上で、実際に、2オクターブ程度の課題曲を歌って、単なる広音域のブレイクの無い声を、歌声として楽曲にどのように応用するかを学習します。3オクターブの声を達成するとは、新しい声になることです。新しい声での演奏方法の習得を実際の歌曲の練習を通じて行います。実践編では、まず、私が制作した課題曲を歌って、3オクターブで歌う感覚を覚え込んでいきます

今井式歌唱法の歌デモ

今井式3オクターブ歌唱法では、歌域として3オクターブの音程域を歌えることを目指します。私の歌声の音程域は「C2~C6」の3オクターブになります。1曲で、3オクターブの音域を全て使う曲は、この世に存在しないので、幾つかの曲に分けて、私が3オクターブで歌えていることをお示しさせて頂きます。ここにアップした2曲で、歌域としては「3オクターブ」になります。


I Can Recall (Spain) - Al Jarreu

和訳:蘇る思い出ースペイン(アル・ジャロー)

この曲の原曲キーは「D」で、アル・ジャローさんは「F#3~G5」の2オクターブと半音1度で歌っています。

私は女性なので1オクターブ上になりますが、「D」だと、アル・ジャローさんっぽい感じにならないので、全音1.5度下げて「B」で歌っています。

Bring Me To Life - Katherine Jenkins

和訳:私を蘇らせて(キャサリン・ジェンキンス)

録音:2023年5月12日/撮影:2023年5月13日

この曲は、Evanescence(エヴァネッセンス)の曲で、オペラのメゾソプラノのキャサリン・ジェンキンスさんがカバーしたバージョンです。オケがクラッシック調で、ポップス系では珍しく、楽曲の後半に、「A4(ラ)」からの1オクターブの音階上昇があります。編曲が非常に面白い1曲です。

一般的な女性の声としては、既存法のブレイクを通過する楽曲ですが、今井式3オクターブ歌唱法での「ブレイクの無い歌声」のデモとしては、違いが解り易いかと思い、歌ってみました。

原曲キーに加え、原曲キー+2で最高音「B5」と、原曲きー+3で最高音「C6」と3パターンで歌ってみました。

キーや歌域の違いで、歌を多少変えてます。 この音域帯は、オペラのソプラノ音域ですが、ピアノかピアニッシモに近い声での歌い出しがあり、サビでは、1オクターブ音階上昇があり、1曲での音量変化も必要で、中々、技術力の必要な曲かも知れません。

楽曲としては、高音域に寄っていますが、メロディ音域としては1オクターブと3度なので、歌域は広くありません。

原曲キー+半3音で上げると、最高音がHighC(C6)になります。C6のロングトーンの歌声サンプルになると思います。私の歌唱法の観点から言えば、高音域の声を出すのに、声を揺らす必要はありません。装飾として揺らすのは良いと思いますが。今井式歌唱法では、基本の声はまっすぐで、息は漏らしません。ピアニッシモや表現としての息使いと息漏れは別です。

ささやく感じで歌っても、声そのものに響きがあれば、歌声がオケに消えることはありません。

Endless Rain - X-Japan

録音:2023年5月12日 / 撮影:2023年5月13日

私は日本人なので、日本人アーティストのカバーをしてみました。原曲キーですが、上下に音を少し拡大してみました。この曲は、「歌声が響く」と、どんな音質になるのか、歌として解り易いと思います。歌域は「E♭2~F#5」ですね。

3 オクターブあれば、男性キーもそのままで良い曲は多いです。

個人的に大好きな曲です。本当に美しいメロディ。Yoshikiさんは本当に天才ですね。

こんな曲を誰かに作って頂けるようになりたい。

時の過ぎゆくままに - 沢田研二

録音:2023年5月16 / 撮影:2023年5月13日

沢田研二さんの歌声は、低音の響きが非常に魅力的です。この曲を、私の歌声で原曲キーでカバーすると、楽曲の最低音が「B2」なので、ギリギリですが、試しに歌ってみました。

今井式歌唱法では、ミックスボイスと異なり、歌声全域が響きます

この歌デモは低音も強く響く声の一例と言えると思います。

 

アヴェ・マリア - カッチーニ

録音:2023年5月18 / 撮影:2023年5月188日

この曲は、音域としては特に広くありません。テンポは遅いので、Bring Me To Lifeよりは声は出せますが、曲の雰囲気や内容から、フレーズ一つ一つを、精緻に歌い上げなくてはならず、難曲といえるでしょう。1オクターブの音階上下が連続するなど、高音域での実践的な練習にもなる素晴らしい1曲です。高音域を歌うのに、声を揺らして出す必要は無く、私の歌い方のように「まっすぐ」にフレーズを描いた方が、メロディの美しさが際立つと思います。

西洋クラシック(オペラ)は歌えるのか?とのご指摘を想定し、シャルロット・チャーチさんが12歳の時に歌っていたKey(キー:Aマイナー)で歌ってみました。

因みに、私は1966年生まれです。発声が本当に正しければ、高く響く声を、50代以降でも維持出来て当然でしょう。

今井式は、歌声から息漏れ音を一切排除します。歌声の響きの中に、ジリジリした「共鳴した」音の特徴が聴けると思います。既存のオペラ発声のように、息漏れ音がある歌い方では、ここまで純粋な響きは得られません。今井式の特徴といえると思います。この状態であれば、歌がオケとしっかり絡むと思います。

今井式3オクターブ歌唱法では、声の構築(3オクターブの声の達成)後は、私の自作練習曲を使って、3オクターブの歌声を構築していきます。

自作曲の「歌デモ」、及び、その他の既存曲での「歌デモ」はこちらから

歌っているデモ

今井式3オクターブ歌唱法では、歌は出来る限り小さな口で歌います。ここでは、小さな口の動きで歌うとはどういうことかをデモンストレーションしています。

この口の動きは、一見、昭和の歌謡歌手と似ていますが、既存の発声法や歌唱法では、この開け方では、広い音程域は歌えません。3オクターブの歌声があるから、高い音への音程域の広いジャンプも、顔を全く崩さずに歌えるのです。ここが、既存法と、私の歌唱法との大きな違いでしょう。


尚、私は、オケ制作、録音、ミックス&マスタリングも、自分一人でやっております。PCのスペックが低いためもありますが、ミックスでは、歌は、コンプレッサーとリバーブを定位置で設定して終わり。生の声に近い状態に仕上げています。録音での遅延も凄いので、自分の歌を殆ど聴かずに録音してます。いつかプロのエンジニアさんに録音して頂けるようになりたいものです。

防人の詩 - さだまさし

録音:2023年5月20日 / 撮影:2023年5月20日

この曲は、音域としては特に広くありませんが、歌詞が精緻であるため、日本語も正確な発音でしっかり歌う必要があります。どの言葉も、一つ一つ、噛み締めて歌うので、集中力と精神力がいります。私のオケのミックスは、歌の際立ちに合わせ、楽器の音も大きめにしています。間奏に入る前、フレーズを楽器に引き渡す最後の音が、フレーズを受け取る楽器の和音と呼応するのが、本当に正しいピッチであり、そこを突き詰めると、単なる機械操作では誤魔化しようが無いと思います。

特に、この歌は、歌として、人として、誤魔化してはいけない、そういう気持ちで歌ってはいけない曲だと思います。

 

2003年に発表された、さだまさしさんの名作の曲を歌ってみました。写真も動画も携帯で撮っており、自宅での一人での動画の撮影は中々上手く行かず、苦戦しました。歌の方は、こんな風に歌いたいのは伝わるくらいには歌えたと思っています。

昨今の音楽制作では、歌はピッチをコントロールするようですが、私は、歌詞のニュアンスが消えるので一切やりません。自然な語りに近い状態で歌にするのが、最も自然であり、だからこそ、人の心に言葉が残るのだと思います。

いくらでも機械で操作出来る時代だからこそ、操作されないリアリティが求められて来るでしょうし、発声が本当に正しければ、ピッチも自然ときっちりするものです。